○日高川町文化財保護条例
平成17年5月1日
条例第71号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、町の区域内に存する文化財のうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって町民の文化的向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で、町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術的価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝塚、古墳、都城跡、旧宅その他の遺跡で町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で町にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象を生じている土地を含む。)で町にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(指定等)
第3条 日高川町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、前条各号に掲げるもののうち、町にとって特に重要と認めるものを日高川町指定文化財(以下「指定文化財」という。)として指定することができる。
(1) 有形文化財、有形の民俗文化財及び記念物については、所有者及び権原に基づく占有者がある場合は、その占有者(以下「所有者等」という。)
(2) 無形文化財及び無形の民俗文化財については、それを保持する者(以下「保持者」という。)又はそれを保持する者が主たる構成員となっている団体で、代表者の定めのあるもの(以下「保持団体」という。)
3 教育委員会は、第1項の規定による指定をするに当たっては、当該無形文化財の保持者又は保持団体を認定しなければならない。
4 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(選定等)
第4条 教育委員会は、町の区域内に存する伝統的な技術又は技能で、文化財の保存のために欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち、町として保存の措置を講ずる必要があるものを日高川町選定保存技術(以下「選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による選定をするに当たっては、選定保存技術の保持者又は保存団体(選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体で、代表者又は管理人の定めるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 一の選定保存技術についての前項の認定は、保持者と保存団体とを併せてすることができる。
(解除)
第5条 教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合は、指定文化財の指定を解除することができる。
(1) 指定文化財が滅失したとき。
(2) 指定文化財が著しくその価値を失ったとき。
(3) 指定文化財が町の区域外に移ったとき。
(4) 指定文化財が法第27条、第56条の3、第56条の10及び第69条の指定を受けたとき。
(5) 前各号に掲げるもののほか、教育委員会において適当と認める理由があるとき。
2 教育委員会は、無形文化財について、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の移動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の理由があるときは、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
3 無形文化財について、保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したときは、当該保持者又は保持団体の認定は、解除されたものとする。
4 教育委員会は、選定保存技術について、保存の措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊の事由があるときは、その選定を解除することができる。
5 選定保存技術について、法第83条の7第1項の規定による選定保存技術の選定があったときは、選定保存技術の選定は、解除されたものとする。
2 教育委員会は、第5条の指定、認定及び選定の解除をしたときは、その旨を告示し、所有者等又は保持者等に通知しなければならない。
3 所有者等又は保持者等は、前項の通知を受けたときは、20日以内に指定書又は認定書を教育委員会に返付しなければならない。
(環境保全)
第8条 教育委員会は、指定文化財のうち保存のため必要と認めたものについては、所有者等の同意を得て、地域を定めて一定の行為を制限し、又は禁止することができる。
(管理方法の指示)
第9条 教育委員会は、指定文化財の所有者等に対し、指定文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(所有者等の管理義務及び管理責任者)
第10条 指定文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、指定文化財を管理しなければならない。
2 指定文化財の所有者等は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わりその指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任し、変更し、又は解任したときは、指定文化財の所有者等は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(標識等の設置)
第11条 指定記念物の所有者等は、教育委員会規則の定めるところにより、その管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
(届出事項)
第12条 指定文化財の所有者等、保持者等又は管理責任者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
(1) 指定文化財についての権原の移動が生じたとき。
(2) 指定文化財が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。
(3) 指定文化財の保存のために他に著しい影響を及ぼすとき。
(4) 指定文化財の所在の場所が変更されたとき。
(5) 所有者等、保持者等又は管理責任者の氏名、名称又は住所を変更したとき。
(6) 指定文化財の保存の方法を変更したとき。
(7) 指定文化財を修理し、又は復旧しようとするとき。
(現状変更等の制限)
第13条 指定文化財(無形文化財及び民俗文化財を除く。)に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、指定文化財の所有者等又は管理責任者は、あらかじめ、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置を執る場合又は保存に影響を及ぼす行為についてその影響が軽微である場合は、この限りでない。
(経費の負担)
第14条 指定文化財の管理、修理又は復旧(以下「管理等」という。)に要する経費は、所有者等又は保持者等の負担とする。ただし、保存、修理又は復旧のために、所有者等又は保持者等がその全額を負担するに堪えない場合その他特別の事情がある場合には、町は、所有者等又は保持者等に対し、予算の範囲内でその経費の一部を負担することがある。
2 前項ただし書により町が経費を負担する場合には、教育委員会は、その条件として管理等に関しあらかじめ所有者等又は保持者等に対し必要な事項を指示するとともに、これを指揮監督することができる。
(1) この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に違反したとき。
(2) 経費負担の条件に違反したとき。
(3) 詐欺その他不正の方法により経費の交付を受けたとき。
(公開)
第16条 教育委員会は、指定文化財の所有者等又は保持者等に対して、その指定文化財の公開又は出品を勧告することができる。
(報告)
第17条 教育委員会は、必要があるときは、所有者等又は保持者等に対し、指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(罰則)
第19条 指定文化財を損壊し、き損し、又は隠匿した者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
2 第13条の規定に違反して教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、指定文化財の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年5月1日から施行する。
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。